小児の鼠径ヘルニアの発症頻度は2~3%程度で,男児に多く,早産児ではさらに高頻度である。ほとんどが腹膜鞘状突起の開存による外鼠径ヘルニアである。稀に内鼠径ヘルニアを認めることもあるが頻度は低い。
▶診断のポイント
診察時に鼠径部の膨隆が認められれば診断は比較的容易である。しかし,外来受診時には膨隆がみられず,診察所見のみでは判断が難しいことも少なくない(「私のTips」参照)。問診では,膨隆の部位,出現状況,左右差,自然に戻るか,不機嫌や疼痛,嘔吐の有無などを確認する。超音波検査は,ヘルニア内容の確認や,所見がはっきりしない場合の補助として有用である。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
治療の原則は手術である。診断が確実であれば,患児の年齢,全身状態,家族背景を考慮しながら,無理のない時期に手術を計画する。ただし,乳児期の鼠径部膨隆では自然軽快する症例もあり,手術時期を一律に決めるのではなく,症状の持続,還納のしやすさ,嵌頓既往,地域の救急受診体制などをふまえて個別に判断する。筆者は,自然軽快が期待できる症例では1歳頃まで経過観察することが多い。一方で,嵌頓既往,再嵌頓の危険が高い症例,不機嫌や嘔吐を伴う症例,還納困難例では早期手術を考慮する。
