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ハンチントン病[私の治療]

登録日: 2026.08.27 最終更新日: 2026.08.27

坪井 崇 (名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学) 勝野雅央 (名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学教授/医学系研究科長/医学部長)

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ハンチントン病(Huntington’s disease:HD)は,舞踏運動を主体とする不随意運動,精神症状,認知機能障害を3主徴とする常染色体顕性(優性)遺伝の慢性進行性神経変性疾患である。第4染色体短腕(4p16.3)のHTT遺伝子におけるCAGリピートの異常伸長を原因とし,ポリグルタミン病に分類される。正常ではCAGリピート数は10〜35回であるが,36回以上でHD発症リスクが生じ,40回以上ではほぼ全例が発症する。CAGリピート数が多いほど発症年齢が低く,重症度が高い。父方遺伝では世代を経るごとにCAGリピート数が増加し,発症が若年化する(表現促進現象)。
好発年齢は30〜50歳代で,約10%が20歳以下で発症する(若年型HD)。男女差はない。有病率は,欧米の10万人当たり5.7人に対し,わが国では0.7人と低く,指定難病受給者証所持者数は約900人である。
病理学的には尾状核を中心とする線条体の中型有棘ニューロンの変性脱落が特徴で,GABA作動性抑制ニューロンの機能低下が舞踏運動に関与する。生存期間中央値は発症後15〜20年で,死因は誤嚥性肺炎,低栄養,窒息が多い。自殺率が著明に高い点にも留意を要する。

▶診断のポイント

診断の基本は,①常染色体顕性遺伝の家族歴,②進行性の舞踏運動を主とする不随意運動と運動持続障害,③易怒性・無関心・抑うつなどの精神症状,④認知機能障害,⑤頭部MRI/CTでの尾状核萎縮に伴う両側側脳室前角拡大,の組み合わせである。冠状断MRIが尾状核萎縮の検出に鋭敏である。確定診断はHTT遺伝子のCAGリピート数測定による1)

初期は軽微な舞踏運動や巧緻運動障害,遂行機能障害,うつ状態で発症し,見過ごされやすい。運動症状に先行して精神症状が出現することも多い。若年型HDでは筋強剛・無動などのパーキンソニズムが前景に立ち,てんかん発作を約3分の1の症例で合併する。鑑別疾患として歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症,脊髄小脳失調症17型,有棘赤血球舞踏病,遅発性ジスキネジア,ウィルソン病を考慮する。発症前診断は十分な遺伝カウンセリングのもとで行う。


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