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【識者の眼】「地方病院での看護師不足を考える」小野 剛

登録日: 2026.08.20 最終更新日: 2026.08.20

小野 剛 (横手市病院事業管理者、全国国民健康保険診療施設協議会名誉会長)

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最近、地方の病院では医師不足と同様に、看護師不足も大きな課題となっている。看護師を十分に確保できず、病棟再編や医療機能の縮小を余儀なくされる病院も目につくようになってきた。

人口減少が先行して進む秋田県の中山間地域に位置する中小規模病院である当院でも、ここ数年、離職する看護師が増加している。一方で、看護師を募集しても応募者は少なく、特に新卒看護師の応募は皆無に等しい状況が続いている。この状況は当院に限ったことではなく、秋田県内全体でもほぼ同様の傾向がみられる。秋田県が公表している「看護職員需給推計」でも、看護職員の供給数は需要数を下回る状況が続いている。

地方では既に18歳人口の減少が進み、看護師養成校の志願者数も減少している。秋田県では多くの看護師養成校で定員割れが続いており、数年後には看護師の確保がさらに困難になることが予想される。今後は地方における「看護師不足・偏在」の問題が、「医師不足・偏在」の問題に匹敵する深刻な課題になるのではないかと危惧している。

日本看護協会が実施した「2025年 病院看護実態調査」では、2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%で、前年度(11.3%)より低下した。一方、病床規模別にみると、病院規模が小さいほど離職率が高い傾向が示されている。また、「2025年 看護職員実態調査」では、「看護職として働き続けたい」と回答した者は62.9%で、2021年調査(67.6%)より低下していた。年齢別では20〜30歳代の就業継続意向が他の年代より低い傾向がみられた。この結果を見ると、今後も離職率の大幅な改善は期待できず、地方の中小規模病院では、若い看護師を採用できたとしても長期間勤務するとは限らず、一定数の離職が生じることを前提に、人材確保・育成戦略を考える必要がある。

一方で、今後看護の道に進む若い世代を増やし、離職することなく看護師として働き続けてもらうための取り組みも欠かせない。前述の「2025年 看護職員実態調査」では、看護師として働き続けるために重要なことは、「業務や役割、責任に見合った賃金額である」が最も多く、ついで「休みがとりやすい」「職場の人間関係が良い」「希望する働き方ができる」の順であった。

この調査結果をふまえると、看護師不足への対応として、業務に見合った賃金体系の構築に加え、AIやICTを活用した働きやすい職場環境の整備、2交代勤務や短時間勤務、ダブルワークなど、多様な勤務形態を選択できる体制づくりが必要と思われる。また、看護師の教育システムを充実させ、病院全体で「育成する」という視点を持って人材を支えることも重要ではないかと考える。

小野 剛(横手市病院事業管理者、全国国民健康保険診療施設協議会名誉会長)[看護師不足][病院看護実態調査

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