パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)は黒質神経細胞の脱落によりドパミンが欠乏するため,運動機能障害が前景に出る神経変性疾患である。さらに,神経変性は皮質や脳幹,末梢自律神経にまで広範に及び,多彩な非運動症状も認める。診断の10年ほど前から,レム睡眠行動障害,軽度の振戦,便秘,嗅覚障害などを呈し,前駆期症状と呼ばれる。
有病率は10万人当たり100~180人とされているが,65歳以上では1000人程度存在すると言われている。年齢別有病率を調査した研究では,40~49歳では10万人当たり約40人であるのに対し,80歳以上では約1900人と報告されており1),加齢が発症に関与する。また,単一遺伝子により発症する家族性PDが5~10%程度存在し,いくつかのリスク遺伝子も報告されている。大気汚染,農薬,頭部外傷,腸内細菌などの環境因子も発症に関与している。
▶診断のポイント
動作緩慢があり,振戦もしくは筋強剛のうち1つ以上が存在すればパーキンソニズムと判断する。レボドパ(L-ドパ)製剤などのPD治療薬により明確な効果が確認できること,典型的な静止時振戦,L-ドパ製剤誘発性ジスキネジア,嗅覚低下,心臓MIBG心筋シンチグラフィーの取り込み低下などはPDに特異的な臨床所見である。また,頭部MRIはParkinson-like disorderを除外するために必要である。ダットスキャンⓇは黒質線条体の変性を確認することが可能であり,診断に有用である。2015年に国際パーキンソン病・運動障害学会より診断基準が報告されており2),診断の参考になる。
