気管支喘息は気道の慢性炎症を基盤とし,可逆性の気流制限と気道過敏性を特徴とする。Type2炎症(好酸球・IgE関連)を主体とする例が多いが,非Type2(Type2-low)炎症も含め表現型は多様である。症状は喘鳴,呼吸困難,胸部圧迫感,咳などであり,夜間・早朝に増悪しやすい。適切な治療により,症状コントロールのみならず,将来リスク(増悪,呼吸機能低下)の抑制が期待できる1)〜4)。
▶診断のポイント
①反復する呼吸器症状(喘鳴・咳・呼吸困難)1)
②変動性・可逆性気流制限(気管支拡張薬吸入後のFEV₁改善)
③気道炎症の評価(FeNO,末梢血・気道の好酸球)
④鑑別〔慢性閉塞性肺疾患(COPD),心不全,その他の心肺疾患,薬剤性咳嗽など〕
⑤吸入ステロイド(ICS)を中心とした治療への反応性(吸入手技およびアドヒアランス確認の上で)
▶私の治療方針・処方の組み立て方
中用量ICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)からの導入を基本とし,症状および病態に応じて段階的に最適化する1)2)。Type2炎症が強い(FeNO高値,好酸球増多など)場合はICS増量を優先する。咳・喀痰・息苦しさが残存する場合は気流制限や気道リモデリングの関与を考え,長時間作用性抗コリン薬(LAMA)追加を検討する。鼻炎や鼻副鼻腔炎を合併する場合はロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を併用する。なお,吸入手技とアドヒアランスを必ず確認する。これらが不十分なまま治療強化を行っても,十分な効果は得られないことが多い。
さらに重要なのはtreatable traitsの評価であり,気道炎症,気流制限,併存症〔肥満,胃食道逆流症(GERD),鼻副鼻腔炎,睡眠時無呼吸など〕,行動因子(喫煙,アドヒアランス不良)を個別に同定し介入することである。具体的には,肥満に対する減量指導,GERDに対するプロトンポンプ阻害薬(PPI)導入,鼻副鼻腔炎に対する耳鼻科連携を行う。環境整備(ダニ対策,禁煙指導,職業曝露回避)も治療の柱である。
