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【識者の眼】「ステロイド外用薬と保湿剤を混合すると、薬の作用は“やさしく”なる?」児島悠史

登録日: 2026.08.13 最終更新日: 2026.08.13

児島悠史 (薬剤師/Fizz-DI代表)

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アトピー性皮膚炎などの治療では、ステロイド外用薬と保湿剤を併用したり、重ね塗りしたりすることで、より高い治療効果が期待できます1)。しかし、これらを個別に塗布する方法は手間がかかるため、服薬(治療)アドヒアランスの低下につながりやすいという課題があります。そこで、臨床現場でよく行われるのが、ステロイド外用薬と保湿剤を“混合”して使用する、という方法です。あらかじめ混合しておけば、1回の塗布ですむため、患者さんの負担は大きく軽減できるからです。

しかし、ここで注意したいのは、混合はあくまで「塗布の手間を減らす」ことを目的としたものであり、ステロイド外用薬としての強さ(ランク)を一律に弱くしたり、副作用のリスクを低下したりする効果は基本的に期待できない、という点です。

単純に考えれば、ステロイド外用薬と保湿剤を1:1で混合すると、ステロイド外用薬の濃度は半分に稀釈されるため、作用も半分程度に弱まるように思えます。しかし、実際には、薬の作用は濃度に比例して低下するわけではありません。混合しても薬効の強さがほとんど変わらない場合2)がある一方で、基剤の性質や皮膚への透過性が変化し、かえって作用が増強するケースも報告されています3)4)

そのため、患者さんへの説明では、混合した薬を「薄めた薬」や「マイルドにした薬」と表現することは避けたほうがよいでしょう。このような説明をすると、「もともとは強いステロイドでも、保湿剤と混ざっているから作用は十分に“やさしく”なっている」と誤解される可能性があります。その結果、Ⅰ群(strongest)に分類されるステロイド外用薬を、顔などの慎重な使用が必要な部位へ自己判断で塗布してしまう恐れがあります。

ステロイド外用薬と保湿剤を混合する目的は、薬の作用を“やさしく”することではなく、塗布の負担を軽減し、治療を継続しやすくすることにあります。この点は、患者さんに誤解のないよう丁寧に説明しておくことが重要です。

【文献】

1) Szczepanowska J, et al:Pediatr Allergy Immunol. 2008;19(7):614-8.

2) 川島 真:臨床医薬. 1990;6(8):1671-81.

3) 大谷道輝, 他:薬学雑誌. 2002;122(1):107-12.

4) 大谷道輝:医療薬学. 2003;29(1):1-10.

児島悠史(薬剤師/Fizz-DI代表)[薬剤師ステロイド外用薬保湿剤

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