概念・病態:急激な血圧上昇に対し,脳血管の自動調節能(autoregulation)が破綻し,過灌流(breakthrough)による血液脳関門の機能不全と血管透過性亢進が生じ,血管原性脳浮腫をきたす病態である。近年では,可逆性後頭葉白質脳症(posterior reversible encephalopathy syndrome:PRES)と同一のスペクトラムとしてとらえられており,最新のガイドラインでもPRESの項で解説されることが多い。
症候:頭痛,悪心・嘔吐,視力障害,意識障害,痙攣などが急性~亜急性に生じる。
予後:早期の適切な降圧により脳浮腫は改善し可逆的な経過をたどるが,診断・治療が遅れると脳出血や脳梗塞へ進展し,不可逆的な転帰をとる可能性がある。
▶診断のポイント
【著しい高血圧】
通常180/120mmHg以上を認めることが多いが,基礎血圧が低い若年者や急性発症(特に妊娠高血圧腎症など)では,収縮期血圧160mmHg程度でも発症しうる。
【神経症候】
全般的な脳機能障害(意識障害,痙攣)に加え,後方循環系(後頭葉・頭頂葉)の障害を示唆する視力障害(霧視,皮質盲など)が特徴的である。局所神経症状は稀であり,認める場合は脳卒中の鑑別が必要となる。
【MRI所見】
T2強調画像およびFLAIR画像にて,後頭葉・頭頂葉優位に皮質下白質の高信号域(血管原性浮腫)を認める。MRI拡散強調画像(DWI)で等~低信号(ADC値上昇)であれば可逆性が高いが,DWI高信号(ADC値低下)が混在する場合は細胞性浮腫(脳梗塞)への進展を示唆し,可逆性が低く予後不良となりうる。
