逆流性食道炎(reflux esophagitis:RE)は,胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)の一病型であり,内視鏡検査により食道粘膜のびらんや潰瘍などの所見を認める病態である。GERDは,胃内容物の逆流によって不快な症状あるいは合併症を生じた状態と定義され,そのうち粘膜傷害を伴うものがREに相当する。REでは診断上,粘膜傷害の存在が必須である一方,自覚症状は必ずしも伴わない。
過食,肥満,円背,ストレスなどが誘発因子として知られている。病態には,下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)機能低下や一過性LES弛緩,食道裂孔ヘルニアといった逆流防御機構の破綻に加え,胃排出遅延,胃酸分泌能の亢進,食道クリアランス低下などが関与する。
日本において,REは比較的頻度の高い疾患であり,有病率はおおむね10%前後と報告されている。加齢とともに頻度は上昇し,女性よりも男性に多いとされる。近年,Helicobacter pylori感染率の低下に伴い日本人の胃酸分泌が亢進しており,REの増加に関与する一因と考えられている。
なお,逆流症状を有するにもかかわらず,内視鏡的に粘膜傷害を認めない場合は,非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)と呼ばれ,REとは区別される。NERDについては他稿を参照されたい。
▶診断のポイント
代表的な症状は,胸やけや呑酸などの逆流症状であり,食後,前屈姿勢,臥位で増強することが多い。また,胸痛(非心臓性胸痛)などの逆流以外の非典型症状や,咽頭違和感,慢性咳嗽などの食道外症状を呈することがある。
内視鏡検査により食道粘膜にびらんや潰瘍を認めた場合にREと診断される。粘膜傷害の程度を評価する方法として,ロサンゼルス分類(Los Angeles classification:LA分類)が広く用いられており,客観性が高く有用である。
