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鼻涙管閉塞(成人)[私の治療]

登録日: 2026.08.09 最終更新日: 2026.08.09

岩崎明美 (大多喜眼科院長)

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鼻涙管は涙を眼表面から鼻腔へ排出する経路であり,涙点,上下涙小管および総涙小管,涙囊,狭義の鼻涙管を経て下鼻道へ開口する。細長い構造のため炎症や薬剤の影響を受けやすく,風邪やアレルギー,抗癌剤,特にティーエスワン配合カプセル(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤,以下TS-1)や点眼薬に対するアレルギー反応などにより閉塞をきたしやすい。白内障手術適応年齢層での有病率は約5%1)とされるが,自覚症状が軽度で見逃されることも少なくない。流涙は視機能や生活の質を低下させ,慢性眼瞼炎の原因となる。さらに,閉塞部より上流では分泌物や細菌が貯留し,感染症の温床となる。代表的疾患として,涙小管炎および涙囊炎が挙げられる。涙小管炎は放線菌などによる菌石形成を特徴とし,多量の眼脂と強い充血を伴う難治性・再発性結膜炎を呈する。

▶診断のポイント

流涙,眼脂増加,内眼角部の皮膚炎症などの所見や,「頻回に涙を拭く」「ハンカチが手放せない」「眼鏡が汚れやすい」などの患者の訴えが手がかりとなる。繰り返す結膜炎は重要な所見である。

TS-1による涙道閉塞では,皮膚色素沈着や羞明,違和感などの軽微な症状が初期徴候となるため注意する。

涙小管炎は,乳頭増殖を伴う結膜炎や涙点からの菌石排出で鑑別可能であるが,通水が保たれる場合もある。

通水テストは閉塞の評価に有用であるが,通水可能でも流涙が持続する場合は,涙道内視鏡検査が可能な施設への紹介を検討する。


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