後腹膜腫瘍とは,後腹膜腔に存在する臓器外の脂肪,筋肉,神経などの組織から発生した腫瘍であり,60%が悪性腫瘍と報告され,そのうち脂肪肉腫が大半を占める1)。無症状で巨大腫瘍として発見されることも多い。後腹膜腫瘍の発生頻度は10万人当たり年間0.5~1人とされており2),稀少疾患のひとつであるため,自施設での症例数が少ない場合はhigh volume centerでの治療も検討する。
▶診断のポイント
後腹膜腫瘍の診断では,造影CTおよび造影MRIが腫瘍局在および質的診断に有用である。しかし,正確な診断は画像検査だけでは困難な場合も多く,隣接臓器への直接浸潤を疑う腫瘍に関しては,後腹膜臓器を原発とした悪性腫瘍や腹腔内臓器からの浸潤などとの鑑別に苦慮するケースも存在する。鑑別困難な場合は,開腹生検または経皮的針生検によって得られた組織診断をもとに治療方針を決定することが望ましい。画像検査で臓器浸潤が疑われず,完全切除可能であれば,全摘標本から得られた病理情報をもとに治療方針を決定する。
脂肪肉腫についで平滑筋肉腫,神経鞘腫が多く,そのほか悪性リンパ腫,パラガングリオーマ,デスモイド腫瘍,孤立性線維性腫瘍などが鑑別疾患に挙がる。検査の中でも特に随時尿中メタネフリン,血中カテコールアミン,血中遊離メタネフリン検査を含めた傍神経節腫のスクリーニング検査は,周術期の降圧管理・輸液管理において非常に重要になるため,考慮する必要がある。
