検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス肺炎[私の治療]

登録日: 2026.08.05 最終更新日: 2026.08.05

小川 薫 (埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科) 岡 秀昭 (埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科・感染症科教授)

お気に入りに登録する

Ⅰ. ニューモシスチス肺炎

ニューモシスチス肺炎(pneumocystis pneumonia:PCP)はPneumocystis jiroveciiによる日和見感染症であり,細胞性免疫の低下した成人で発症する。HIV感染者では発症率が高い一方,近年はステロイドや免疫抑制薬の普及に伴い,HIV非感染者のPCPが増加している。HIV非感染者では進行が速く,急性呼吸不全に至ることも多い。HIV非感染者の致死率は20~40%と高く,HIV感染者(10~20%)よりも不良である。
主なリスク因子としては,プレドニゾロン換算20mg/日以上を4週間以上使用,造血幹細胞移植,固形臓器移植,悪性腫瘍治療中,免疫抑制薬(特にリツキシマブ,カルシニューリン阻害薬)などが挙げられるが,ST合剤の予防内服を行っていれば多くは予防可能である。

▶診断のポイント

血清β-D-グルカン高値(20pg/mL以上)は感度94.8%,特異度は86.3%と報告されているが1),真菌症全般で上昇しうるため特異的ではない。KL-6値も上昇することが多いが,他の間質性肺疾患でも上昇しうるため鑑別が必要である。

画像所見としては,両側性のすりガラス影が典型だが,HIV感染者では非典型例もみられる。pneumo-が「肺」や「空気」を意味し,-cystisが「囊胞」を意味することから,多発する囊胞(cyst)を形成することも特徴である。この囊胞が末梢で破裂することで,難治性の気胸を合併しうることに留意しなければならない。

確定診断は,呼吸器検体〔気管支肺胞洗浄(BAL)など〕でのPneumocystisの顕微鏡的証明をDiff-Quik染色TMあるいはGrocott染色にて行うことである。HIV非感染者では菌量が少なく,顕微鏡的証明が困難なことも多い。 そのため,真菌が見えないときには感度が高いPCR検査は診断に不可欠であるが,PCR検査は定着(colonization)を見ている可能性があるため,結果の解釈には注意を要する。BAL施行時には,サイトメガロウイルス(CMV),細菌,アスペルギルスなどの併存感染症を同時に検索し,鑑別を行うことも重要である。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

HIV非感染者では重症化しやすいため,早期治療開始を重視する。第一選択はST合剤であり,腎機能や電解質異常に注意しながら投与する。低酸素血症(PaO₂<70mmHg)を伴う場合は副腎皮質ステロイドの併用がHIV感染者では標準化されているが,HIV非感染者では明確なエビデンスが蓄積できていない。ST合剤が使用困難な場合は,重症例では静注ペンタミジンを,軽症~中等症ではアトバコン内服を選択する。


1 2