掌蹠表皮分化疾患(palmoplantar epidermal differentiation disorder:pEDD)は,遺伝的な要因によって手掌と足底に過角化が生じる一連の疾患群である1)。pEDDは49の原因遺伝子による58疾患に分類されており,これまで掌蹠角化症(palmoplantar keratoderma:PPK)に含まれていたほとんどの疾患がpEDDに包括されている1)。pEDDには,掌蹠の症状のみを認める病型と,多臓器症状を伴う種々の症候群が含まれる。また,遺伝的な要因によらず,後天的に生じるものは後天性PPKと呼ばれ,種々の後天的誘因や他の皮膚疾患の部分症状として生ずる。
▶診断のポイント
【症状】
掌蹠を主体に角化がみられる場合は,pEDDや後天性PPKを疑う。pEDDでは,まずは皮膚外臓器の随伴症状の有無から鑑別を始める。随伴症状がある症候性の場合は,随伴症状によって鑑別を進めていく。随伴症状がない非症候性の場合は,掌蹠の角化の形状(点状,限局性,びまん性)や絞扼輪の有無などの特徴的臨床像から鑑別を始める。また,角化が掌蹠を超えて手背,足背,指趾背,アキレス腱部まで及ぶtransgrediensや,紅斑・潮紅などの炎症所見なども鑑別に有用である。たとえば,わが国で最も頻度の高いpEDDであるSERPINB7-pEDD(長島型PPK)は,非症候性で手背,足背に及ぶ掌蹠の紅斑・潮紅や浸軟を特徴とする。一方,後天性PPKの誘因として,機械的刺激,内分泌性,腫瘍随伴性,感染症,薬剤性,炎症性角化症,湿疹皮膚炎群などが挙げられる。
【検査所見】
一部のpEDDでは,水に浸けるとスポンジ様に白くなる所見(浸水試験陽性)や,病理組織で顆粒変性がみられることがある。最終的に,遺伝学的検査により病因遺伝子の病的バリアントを検出することで,診断を確定する。
