検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

滲出性中耳炎[私の治療]

登録日: 2026.07.28 最終更新日: 2026.07.28

橋本孝佑 (大阪公立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉病態学・頭頸部外科学) 角南貴司子 (大阪公立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉病態学・頭頸部外科学主任教授)

お気に入りに登録する

滲出性中耳炎は「鼓膜に穿孔がなく,中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが,急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎」1)と定義されている。小児においては,就学前に90%が一度は罹患する疾患で,小児に難聴を起こす最大の原因である。危険因子は多彩で,口蓋裂,頭蓋顔面異常,ダウン症などの先天性疾患,アデノイド増殖症,アレルギー性鼻炎,上気道炎や鼻副鼻腔炎罹患時にしばしば合併する。また,耳管狭窄や耳管開放といった耳管機能障害は滲出性中耳炎の遷延化に関与するとされている。小児滲出性中耳炎の90%以上は自然治癒するとされているが,鼓膜の病的変化に伴う難聴や,稀に真珠腫性中耳炎へ移行するなど,貯留液消退後も長期にわたり問題となる後遺症がある。

▶診断のポイント

【症状】

主な自覚症状は難聴や耳閉感であるが,症例の多くが就学前の小児であり,正確な聴力の把握が困難な場合もある。罹患が長期にわたると言語発達や構音に異常をきたすことがある。特に小児においては症状に気づかれずに偶然発見されることも多い。

【検査所見】

小児においては,保護者から言語発達を含めた詳細な問診を聴取する。診断には顕微鏡や内視鏡を用いた鼓膜の観察が重要である。急性炎症所見がなく中耳の液体(滲出液)がみられる場合に診断されるが,貯留液とともに鼓膜の病的変化(高度な内陥・癒着や菲薄化など)がみられることがある。気密耳鏡検査やティンパノメトリーは客観的な中耳貯留液の診断に有用である。鼓膜所見が不良な場合や明らかな難聴のある場合,言語発達の遅れがみられる場合には年齢に応じた聴力検査を行う。また,予後と乳突蜂巣の発育との関係が指摘されているため,側頭骨の画像診断は有用である。

成人の場合には病因・病態は大きく異なり,上咽頭癌などの腫瘍病変も原因となりうるため,鼓膜所見や聴力検査のみならず,鼻咽腔ファイバースコープ検査にて上咽頭,耳管咽頭口の状態を確認する。


1 2