胃MALTリンパ腫は,胃粘膜関連リンパ組織に発生する低悪性度B細胞リンパ腫であり,消化管原発リンパ腫の中で最も頻度が高い。病態形成にはHelicobacter pylori(H. pylori)による慢性炎症が深く関与する。腫瘍の進行は緩徐で,予後に影響することは少ない。一方,近年ではH. pylori陰性例や除菌後に発症する症例が増加しており,治療戦略の検討が重要となっている。
▶診断のポイント
胃MALTリンパ腫は,上部消化管内視鏡検査で褪色調陥凹性病変を示す場合が多い。一方で,粘膜肥厚,顆粒状・結節状変化,浅いびらんや不整潰瘍など様々な所見を示す場合もある。狭帯域光観察(narrow band imaging:NBI)による拡大観察では,ツリー様の拡張血管や腺管構造の不整・消失が観察される。確定診断には生検病理組織でのリンパ腫細胞の浸潤やリンパ上皮病変(lymphoepithelial lesion:LEL)による腺管破壊像を確認する。病期診断には Lugano分類を用い,PET-CTによる遠隔病変の評価および骨髄生検による骨髄浸潤の除外を行うことで臨床病期を確定する。また,治療方針の決定にはH. pyloriの感染評価が重要である。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
消化管に限局しない病期であれば,積極的に化学療法を検討する。一方で,MALTリンパ腫が胃に限局し,特に表層型の場合は,予後良好なケースが比較的多く,慎重な経過観察を行う“watch and wait”療法も含めた選択肢から総合的に治療を判断する1)。
