嗅覚障害は責任病巣の部位によって以下の3つに大別される1)。
気導性嗅覚障害:鼻孔から嗅粘膜に至る気流の障害により,嗅素が嗅粘膜へ届かなくなるために生じる。鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの炎症性鼻副鼻腔疾患で生じる。
嗅神経性嗅覚障害:嗅覚伝導路の一次ニューロンである嗅神経の変性・傷害により生じる。上気道ウイルス感染後の嗅覚障害(感冒後嗅覚障害)や,塩素などの揮発性化学物質,抗癌剤などによる薬剤性嗅覚障害,頭部外傷や頭蓋内手術が主な原因である。
中枢性嗅覚障害:嗅球より中枢側の嗅覚伝導路の傷害で生じる。頭部外傷,脳腫瘍,頭蓋内手術によって生じる。また,神経変性疾患に伴って生じる嗅覚障害もこのカテゴリーに入る。
▶診断のポイント
原因の検索には問診が重要で,発症の契機と経過,症状変動・異嗅症・風味障害の有無,既往歴,使用薬剤を確認する。これに鼻内の内視鏡による視診と画像診断を組み合わせる。原因として最も多い鼻副鼻腔炎に伴う嗅覚障害の診断には冠状断鼻副鼻腔CTが有用である。また,中枢性嗅覚障害を疑う場合はMRIを施行する。
嗅覚障害の程度の評価には基準嗅力検査を施行する。静脈性嗅覚検査(アリナミンⓇテスト)は予後の判定に有用性が高いが,現在はアリナミンⓇ注射液の製造が中止されており,施行できない。
