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頸椎椎間板ヘルニア[私の治療]

登録日: 2026.07.19 最終更新日: 2026.07.19

藤城高志 (大阪医科薬科大学整形外科学教室講師)

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椎間板ヘルニアは,椎間板の髄核が線維輪の亀裂から脱出した状態である。好発年齢は40歳代で,発生高位としては頸椎C5/C6に最も多い。症状は神経根を圧迫する「神経根症」と,脊髄を圧迫する「脊髄症」に大別される。両者は症状・予後・治療戦略が大きく異なるため,初診時の鑑別がきわめて重要である。

▶診断のポイント 

【症状】 

神経根症(radiculopathy)は単一神経根の障害であり,障害高位に対応した一側性の痛み・しびれと筋力低下が主体となり,典型的には頸部から肩甲骨,上肢への放散痛やしびれが生じる。疼痛誘発テストとしてJackson testとSpurling testがある。また,患側の上肢を挙上して頭の上に置くことで神経根の緊張がゆるみ,痛みが軽減すること(Bakody’s sign)も特徴的である。脊髄症(myelopathy)は脊髄(long tract)の障害であり,上下肢のしびれとともに,巧緻運動障害(箸が使いにくい,シャツのボタンが留めにくい,字が書きにくいといった訴えが典型的)と歩行障害などの錐体路徴候(上位運動ニューロン障害)が主体となる。痛みを伴わないことも稀ではない。

【検査所見】

MRIが診断のgold standardである。ただし,中高年では無症候性の椎間板突出がMRIで偶然見つかることも多いため,画像所見だけで判断せず,責任病巣であるかの慎重な判断が求められる。最も重要なのは,診察所見で予想される神経の圧迫が画像で確認できることである。神経根症の場合は,障害高位のデルマトームに一致した放散痛やしびれが,マイオトームに一致した筋力低下があることが診断の必須条件である。脊髄症は障害高位に一致した髄節症状を呈する。

【鑑別診断】

神経根症を呈する頸椎椎間板ヘルニアでは,前胸部痛を呈することがある(cervical angina)1)。心原性の狭心症とは異なり,頸部の回旋や屈伸で胸痛が再現・増悪するのが鑑別のポイントである。また,上肢における絞扼性神経障害,Pancoast腫瘍の除外も重要である。

脊髄症の場合は,筋萎縮性側索硬化症(ALS)との鑑別が特に重要である。また,多発性硬化症,ビタミンB12欠乏症などもMRIや血液検査で除外する必要がある。


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