食道憩室は,食道壁の一部が外方に袋状に突出したもので,無症状のものから嚥下障害や誤嚥に至るものまで,幅広い症状を呈する疾患である。有病率は1000〜1万人に1人程度とされ,咽頭食道憩室(Zenker憩室),中部食道憩室,下部食道憩室(横隔膜上憩室)がある。
咽頭食道憩室:最も頻度が高く,高齢者に多い。臨床的介入が必要となる食道憩室の多くを占める。
中部食道憩室:多くは無症状で,臨床的介入が必要となることは稀である。
下部食道憩室:アカラシアなどの食道運動障害を合併する例が多い。
▶診断のポイント
多くの場合は無症状であり,健診で見つかる例が多い。症状がある場合には,嚥下障害,食物逆流,誤嚥,肺炎,口臭などがある。診断方法としては,食道造影検査が第一選択となる。憩室の部位,大きさ,形状,食道との交通状態を明確に評価することが可能である。上部消化管内視鏡検査を行う場合には,特に咽頭食道憩室の穿孔に注意が必要であるが,憩室を直接観察することで,潰瘍やがんの有無を評価できる。侵襲的治療を考慮する際には必須である。補助的な検査として,CTや食道内圧検査がある。CTは憩室の周囲の状況の診断に有用であり,炎症や膿瘍の有無を評価できる。食道内圧検査はアカラシアなどの食道運動障害を疑う下部食道憩室に必要な検査である。
