耳管は通常,安静時に閉鎖し,嚥下・あくびなどで瞬間的に開いて中耳の換気と圧平衡を担う。耳管機能不全はこの「開閉のバランス」が崩れた状態で,耳管開放症と耳管狭窄症に大別される。鼻すすりで一時的に症状が軽快する「鼻すすり型」は,陰圧の反復により鼓膜陥凹,癒着性中耳炎,真珠腫性中耳炎などの誘因となりうるため別枠で扱う。
▶診断のポイント
耳管開放症・耳管狭窄症ともに日本耳科学会より診断基準が提唱されているため1)2),これに沿って診断するとよい。
耳管開放症は①自覚症状(自声強聴/耳閉感/呼吸音聴取),②耳管閉塞処置での症状の改善,③開放耳管の他覚的所見(鼓膜呼吸性動揺/TTAG法/音響法)の3項目からなり,すべて満たすものを確実例,①を満たし,②または③のいずれかを満たすものを疑い例とする。鼻すすり型の場合は,まず鼓膜所見を確認し,内陥や貯留液があればバルサルバ手技や通気にて鼓膜が持ち上がるか,さらに鼻すすりを行って再陥没するか(鼻すすり試験)を確認する。
耳管狭窄症は①耳管が機能的(能動的開大障害)または器質的(受動的開大障害)に開きにくい,②慢性的中耳病態または耳症状がある,③耳管閉鎖障害が否定される,これらすべてを満たすものが広義の耳管狭窄症であり,さらに,④耳管の受動的開大圧が高く,かつ用手で行う逆通気が通らない,を満たすものが狭義の耳管狭窄症となる。
