耳垢は,外耳道の外側1/3を占める軟骨部外耳道に存在する耳垢腺と皮脂腺からの分泌物に脱落した表皮などが混ざることで形成される。これが外耳道に充満した状態が耳垢栓塞である。外耳道が狭い乳幼児や加齢により外耳道皮膚の自浄作用が低下している高齢者に発生しやすい。また,年代にかかわらず綿棒での耳掃除で耳垢を深部に押し込んだときなどにも発生する。
耳垢の性質は湿性と乾性にわかれ,遺伝により決定される。耳垢栓塞をより生じやすいのは湿性耳垢であるが,わが国では約16%と少ない1)。外耳道が耳垢により閉塞すると,伝音難聴と耳閉感が生じる。
▶診断のポイント
顕微鏡などで外耳道に充満する耳垢を認めた場合は,まずは耳垢栓塞と考えるが,深部に閉塞性角化症や外耳道真珠腫,中耳真珠腫などの骨の変形や破壊を伴う疾患が存在する可能性は常に考慮しなければならない。特に真珠腫では骨破壊により露出した中耳の重要構造物や内耳に角化物が直接付着している可能性があり,これを乱暴に,または盲目的に除去すると耳小骨の脱臼や内耳瘻孔といった重大な副損傷を生じうる。充満する耳垢や角化物を除去する際に患者がめまいを訴えた場合は,CTで中耳の状態を確認したほうがよい。
