変形性肩関節症は,加齢や長期にわたる機械的負荷,外傷後変化などを背景として,肩甲上腕関節の関節軟骨が変性・摩耗することで発症する疾患である。進行に伴い,軟骨消失に加えて骨棘形成,関節裂隙狭小化,骨硬化像を呈し,最終的には関節可動域制限と難治性疼痛をきたす。高齢者に多いが,反復するスポーツ活動,外傷後不安定性,腱板機能障害などにより比較的若年で発症する症例も存在し,患者背景は多様である。
▶診断のポイント
主訴は肩関節痛および可動域制限であり,特に挙上および外旋制限が典型的である。疼痛は使用時痛に加えて夜間痛を伴うことも多く,寝返り困難を訴える症例も少なくない。単純X線像では関節裂隙狭小化,骨棘形成,骨硬化像,骨囊胞を確認する。腱板断裂性肩関節症(cuff tear arthropathy:CTA)では骨頭上方化を伴うことが多い1)。CTは骨頭形状や関節窩骨欠損の評価に有用であり,手術適応を検討する症例では不可欠である。MRIは残存腱板,関節内水腫,関節唇病変の評価に有用で,CTAとの鑑別に役立つ2)。臨床症状と画像所見を総合的に評価し,重症度分類を行う。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
治療は保存的治療を基本とし,疼痛の程度,可動域制限,腱板機能,年齢,生活背景,職業歴などを考慮して段階的に進める。特に労働内容やスポーツ活動レベル,利き手か否かは治療方針に大きく影響する。腱板機能の残存状態は治療選択における重要なポイントであり,経過中の機能低下にも注意を要する。
