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【識者の眼】「ワールドカップの楽しみ方」岩田健太郎

登録日: 2026.06.26 最終更新日: 2026.06.26

岩田健太郎 (神戸大学医学研究科感染治療学分野教授)

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本稿執筆時点でサッカーのワールドカップが開催されている。

小学生のときにサッカー部の顧問にこう教わった。「サッカーで一番偉大な選手は黒人のペレ。サッカーは人種に関係なくスターになり、尊敬を勝ち得ることができるスポーツだ」。

そうか、サッカー界には人種差別がないんだな、と当時の私は素朴に思ったものだ。

もちろん、私は間違っていた。サッカーに人種差別はつきものであり、黒人差別は普遍的だ。ペレは例外的な存在であり、例外事項を根拠に一般解を導いてはいけないのである。序論、本論はまともなのに結論だけが飛躍しすぎている学生のレポートみたいだ。あと、Twitterのクソリプは大抵この手の「結論の飛躍」が多い。リプが「つまり、○○ということですね」と書いているとき、大多数は「そういうことではない」。

閑話休題。

とはいえ、サッカーによって多様な人種、多様な文化の交流が盛んになり、お互いの理解の助けになったのは事実である。イングランド代表に選ばれた最初の黒人選手はビヴ・アンダーソンで1978年。フランスは1971年に代表入りしたマリユス・トレゾールが最初だと思い込んでいたが、実はラウル・ディアニュという選手が1931年に既に選ばれていたそうだ(!)。西ドイツではエルヴィン・コステデという選手が1974年に代表入りしているが、長年、白人ばかりのチームだった印象が強い。リュディガーやムシアラなど、黒人選手が普通にトップチームにいるようになったのはつい最近のこと。スペインのドナトが1994年、イタリアはバロテッリが最初だと思っていたら、実はミゲル・モントゥオーリという選手が1956年に選ばれていた。調べてみるもんですなぁ

今やフランス代表などは黒人選手が数多くを占める。文句を言う人もいるだろうが、おおむねファンはハッピーだ。だって、選手のレベルが高いんだもの。私的にはフランスは今大会優勝候補の筆頭だ。ただし、私の予想は当たったことがない(笑)。

サッカー界でアジア人、特に東アジア人は軽蔑あるいは無視の対象だったが、今やそんなことはない。ソン・フンミンをはじめ、スターは続々と誕生している。

朝、ラジオでNHKを聞くと、スポーツニュースは日本代表の話だけである。一方、BBCのポッドキャストでは、メッシがハットトリックを決めたとか、カーボベルデが劇的な勝点を取ったとか、多彩な話題を提供している。

カーボベルデってどこ? サッカーは世界を理解する素敵な出発点だ。サムライブルーも大事だけど、それだけでよいの?

岩田健太郎(神戸大学医学研究科感染治療学分野教授)[人種差別多様性

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