『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019』では,血痰・喀血の原因疾患に関する記述は英国のプライマリ・ケア外来のデータに基づいたものであり,本邦の診療実態を十分に反映したものではなかった。今回の改訂にあたり,『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2025』ではこの課題を解消すべく,国内データに基づく血痰・喀血の原因疾患に関するオリジナル研究結果が新たに収載されており,その臨床的意義は大きい1)2)。
まず,プライマリ・ケア医療機関における231例の解析では,急性気管支炎(39.4%)が最多であり,急性上気道炎(14.7%),気管支拡張症(bronchiectasis:BE,12.6%),慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD,7.8%),非結核性抗酸菌(non-tuberculous mycobacteria:NTM)症(6.5%)が続いた。特に「60歳以上」および「女性」では,BEやNTM症など慢性気道疾患の割合が高い傾向が示された3)。