咳過敏症とは,咳反射を担う気道知覚神経の過敏状態や中枢神経の機能異常が背景となり,低レベルの温度・機械的・化学的刺激を契機に生じる難治性の咳を呈する症候群として定義されている1)。咳過敏性は広い意味で難治性慢性咳嗽を説明しうる病態として着目されており,末梢性神経作動薬であるP2X3受容体拮抗薬が上市されたことで基礎・臨床の両面から知見が集まっている。
咳嗽を“sensory neuropathy”ととらえる考えに基づき,『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019』では,中枢性神経作動薬であるガバペンチン・プレガバリン・アミトリプチリン等の難治性咳嗽に対する有効性が評価された(ただし,2026年5月時点で中枢性神経作動薬の難治性咳嗽に対する保険適用はない)。2022年には末梢性神経作動薬であるゲーファピキサント(リフヌアⓇ)の第三相試験完了2)と日本での薬事承認が得られたことで,同年よりゲーファピキサントが発売となり,保険適用が得られた。それに伴い,本ガイドラインではCQ4として「P2X3受容体拮抗薬はRefractory Chronic Cough/Unexplained Chronic Coughに有効か」という問いが立てられ,「使用を弱く推奨する」(エビデンスの確実性:B)と記載された。