『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン』の2019年版1)と2025年版2)における成人急性咳嗽(3週間未満)のフローチャートでは,初期評価におけるred flags(重篤な疾患の徴候)の確認が明確化され,軽快傾向例での抗菌薬不要,非定型病原体を疑う場合の抗菌薬選択もより具体的に示された。
第一に,初期評価についてである。2019年版では,医療面接と身体所見を中心に,体温38℃以上,脈拍100回/分以上,呼吸数24回/分以上,胸部聴診所見異常があれば特に肺炎を疑うとしていた。一方,2025年版では,入口の評価項目として胸部X線写真が明記され,red flagsが独立して示された。具体的には,血痰,喫煙者における新規または変調した咳嗽・発声障害,呼吸困難,全身症状,嚥下障害,反復性肺炎,胸部X線写真異常などが挙げられ,肺炎,悪性疾患,心不全,誤嚥なども初期評価の段階で念頭に置く構成となった。