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破傷風[私の治療]

登録日: 2026.06.27 最終更新日: 2026.06.27

梶 龍兒 (徳島大学研究支援・産官学連携センター研究推進部門・難治性神経疾患病態研究分野特任教授)

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破傷風(tetanus)は,嫌気性細菌で通常は土壌に常在する破傷風菌(Clostridium tetani)が産生する神経毒素(tetanospasmin)による神経疾患である。多くの場合,創傷感染により嫌気性環境下で増殖し,産生された神経毒素が中枢に運ばれて脳幹・脊髄の抑制性(GABA作動性)介在ニューロンの神経伝達を阻害することで引き起こされる。早期治療が生命予後を大きく左右する。わが国では高齢者におけるワクチン接種率が低いため,近年,症例数が増加している。

▶診断のポイント

早期診断が生命予後を左右する。典型的には開口障害(trismus)をきたすとされるが,咀嚼筋の硬直,違和感があり,急性の顎関節症と診断されることもある。そのほか嚥下困難,頸部・背部のこわばりをきたすことが特徴である。多くは後弓反張様の体幹の姿勢をとるが,前屈となることもあり注意を要する。原因となった皮膚などの感染創は目立たなくなっていることも多い。急激に進行する開口障害は,まず疑うことが重要である。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

破傷風の治療には,主に破傷風トキソイドや免疫グロブリンの投与が行われる。感染部位の洗浄や壊死組織の切除も重要で,抗菌薬(主にペニシリン系やメトロニダゾールなど)を使用して細菌の増殖を抑える。また,痙攣や筋肉の緊張を緩和するために,筋弛緩薬や鎮静薬が投与されることもある。暗室,静音,不要な接触を減らすことも重要である。

重症例では,呼吸管理のために人工呼吸器が必要となる場合もある。早期の治療開始が予後改善に重要である。


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