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アルコール関連肝疾患[私の治療]

登録日: 2026.06.25 最終更新日: 2026.06.25

池嶋健一 (順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学教授)

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アルコール関連肝疾患(alcohol-associated liver disease:ALD)は過剰飲酒に起因する肝臓病で,アルコール使用障害(alcohol use disorder:AUD)を背景とすることが多い1)~3)。欧米を中心に脂肪性肝疾患の名称変更が提唱され,“アルコール性肝障害(alcoholic liver disease)”は不適切な用語であるため用いないことが推奨されている4)。わが国でも日本消化器病学会・日本肝臓学会が合同で「アルコール関連肝疾患」を正式名称と定めている。
ALDは初期病変の脂肪肝から脂肪肝炎を経て肝硬変へと進行し,肝癌の発症母地としても重要である。急激な飲酒量増加によりアルコール関連肝炎(alcohol-associated hepatitis:AH)が惹起され,その繰り返しで肝線維化が進行するが,重症例はacute on chronic肝不全の病態を呈して予後不良である。ALDの病態は栄養障害と関連が深く,近年は中等量の飲酒に加えて,心血管系リスク因子(cardiometabolic risk factor:CMRF)を有する代謝機能障害アルコール関連肝疾患(metabolic and alcohol-associated liver disease:MetALD)の概念も提唱され4),問題視されるようになった。

▶診断のポイント

ALDは血清肝酵素上昇(AST>ALT,γ-GTP高値)や腹部超音波検査,CT・MRIなどの画像診断での脂肪肝の所見に加えて,アルコール使用歴の詳細な聴取が重要である。AUDのスクリーニングにはAUDIT(AUD identification test)などの問診票が有用である。アルコール依存症の診断基準はICD-11へと移行してきており3),より広範な状態を包含するAUDの概念も普及しつつある。

一般的に5年以上の常習飲酒(純エタノール換算で男性60g/日・女性50g/日以上)が過剰飲酒とされる。女性や2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)活性欠損者(ヘテロ型)では少量~中等量の飲酒でもALDをきたしうる3)5)。また,CMRFを有する中等量飲酒者(男性30~60g/日・女性20~50g/日)はMetALDと診断される。ALDH2活性欠損は遺伝子解析を行わなくてもフラッシングの有無で推定可能だが,飲酒継続による飲酒耐容量の増加とともにフラッシングは軽減するため,飲酒開始初期のフラッシングを聴取する必要がある。

飲酒量の客観的評価は難しく,代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction associated steatotic liver disease:MASLD)との鑑別は時として困難なことがある。直近の飲酒量の把握には各種バイオマーカーの活用が診断補助に有用であり,わが国でも間接的バイオマーカーの糖鎖欠損トランスフェリン/トランスフェリン比(%CDT:carbohydrate-deficient transferrin)測定が体外検査試薬として承認されている3)5)。純粋なALDの診断には他の肝障害の成因(ウイルス性肝炎や自己免疫性肝疾患など)を除外する必要があるが,合併例は双方への対応が必要になる。

肝線維化の進行度に関しては,FIB-4 indexや各種血清肝線維化マーカーおよび超音波エラストグラフィー(フィブロスキャンなど),MRエラストグラフィーによる非侵襲的評価が有用である。肝予備能低下はプロトロンビン時間延長(PT-INR値上昇),血清アルブミン値の低下や血清ビリルビン値上昇,および腹水や肝性脳症の程度・治療応答性で総合的に評価する(Child-Pughスコア)。CT・MRIでは門脈圧亢進症所見(脾腫や門脈−大循環短絡路)の確認や肝癌合併の有無の検索に加えて,膵病変(慢性膵炎・膵癌)のスクリーニングも可能である。上部内視鏡検査は食道・胃静脈瘤のチェックのみならず,頭頸部・食道癌のスクリーニングとしても重要である。


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