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工業・家庭用品等による中毒/自殺未遂[私の治療]

登録日: 2026.06.17 最終更新日: 2026.06.17

黒澤慶子 (大分大学医学部附属病院高度救命救急センター救命救急科)

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工業・家庭用品は数多く存在しており,それらによる中毒症状および原因物質について瞬時に把握するのは困難である。可能な限り原因物質を特定できるよう情報収集に努める。医療従事者の二次曝露予防のため,診療前に個人防護具を装着して対応する。
中毒診療では,想定される原因物質にかかわらず生命徴候の安定化を第一に診療を行う。原因物質が確認されれば,吸収の阻害,排泄の促進,解毒薬・拮抗薬の投与を行う。自殺企図にも配慮し対応する。

▶病歴聴取のポイント

曝露物質の詳細を確認する。曝露物質名,曝露量,物質濃度,曝露部位,発生状況,時間,現場での対応など詳細に聴取する。工業用品では安全データシートも参考にする。家庭用品は,薬品のボトルや箱などを安全に配慮して持ち込むか,写真で確認できるように指示する。工業・家庭用品の不自然な曝露は,自殺企図を考慮し,偶発的か意図的かを確認する。今までの経過を示唆するような行動や思考がなかったかを聴取する。

▶バイタルサイン・身体診察のポイント

意識,血圧,脈拍,呼吸回数,SpO2,体温などに異常がある場合は,バイタルサインの安定化を最優先する。用品・薬物,患者の体液や吐物が付着した衣服を脱がせ,接触を避ける。皮膚への曝露については,流水で十分洗い流し,化学熱傷や皮膚からの吸収の進行を防ぐ。脱衣の際には体温の低下に注意する。

持続心電図モニター,12誘導心電図で異常波形の有無を確認する。粉塵吸入や誤嚥など,化学性肺炎を起こし低酸素血症を認めた場合は,酸素投与を開始する。

意識障害,呼吸不全,循環不全などを認め不安定な場合は,気管挿管や薬剤投与による対症療法を行いながら,速やかに集中治療ができる高次医療機関への搬送を考慮する。


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