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感染症合併妊娠[私の治療]

登録日: 2026.06.16 最終更新日: 2026.06.16

中西美紗緒 (国立国際医療センター産婦人科産科医長)

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妊娠中には注意すべき感染症が多いが,日常診療でよくみられるのが「かぜ症候群」である。本稿では妊婦がかかりやすく,適切な治療と鑑別が必要となるかぜ症候群への対応を述べる。
かぜ症候群は急性上気道炎を指し,その約80~90%はウイルス感染による。ライノウイルス,コロナウイルス,RSウイルスなどが原因で,飛沫を介して鼻腔や咽頭,喉頭に侵入し粘膜で増殖する。主症状は鼻水,鼻づまり,咽頭痛で,発熱,頭痛,倦怠感を伴うことも多い。通常は1週間ほどで自然に軽快する。

▶診断のポイント

妊娠中のかぜ症候群は,非妊娠時と同様に臨床症状をもとに診断する。ただし,妊婦では,重症化しやすいインフルエンザウイルス感染症(インフルエンザ),新型コロナウイルス感染症(COVID-19),またA群β溶血性連鎖球菌(GAS)感染症の劇症型〔劇症型溶血性連鎖球菌感染症(STSS)〕に注意が必要である。上気道症状に加え,発熱,頭痛,倦怠感,筋肉痛や関節痛などの全身症状を伴う場合は,インフルエンザやCOVID-19を疑い,同時検出が可能な抗原検査を行う。GAS感染症は多くが咽頭炎や皮膚感染にとどまるが,血行性に子宮筋層に広がるとSTSSを発症し,急速に重症化して播種性血管内凝固(DIC),多臓器不全に至り,母児死亡の危険がある。発熱や上気道症状に加えてバイタルサインの異常や子宮の痛み,性器出血を認める場合は,胎児評価を行いながら速やかにGAS迅速抗原検査を行い,早期に診断し治療につなげる。


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