夏に気をつけたい薬の副作用の1つに、外用鎮痛消炎薬による「光線過敏症」があります。「光線過敏症」とは、薬剤を貼付・塗布していた部位に紫外線が当たることで、強いアレルギー反応を起こす症状です。この「光線過敏症」に関しては、医療従事者の間でも様々な誤解や見落としがあります。
まず、この副作用が有名な薬剤として「ケトプロフェン」が挙げられますが、これに限ったリスクというわけではありません。「フルルビプロフェン」や「インドメタシン」「フェルビナク」といった他の外用非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)でも、「ケトプロフェン」とほぼ同程度の頻度で発症することが報告されています。さらに、ベンゾフェノン骨格を持たない「ジクロフェナク」や「イブプロフェン」でも発症例は報告されています1)。そのため、「光線過敏症」は特定の薬剤だけの問題ではなく、外用NSAIDs全般に共通するリスクとして認識しておく必要があります。
また、この副作用は薬剤の使用中だけでなく、使用終了後もしばらく警戒を続ける必要があります。たとえば、「ケトプロフェン」では、使用中止後も12〜16日程度は角質層中に薬剤が残留することが確認されています2)。日本では、使用終了後も少なくとも4週間は紫外線曝露を避けるよう注意喚起が行われていますが、これはこうした薬剤残留の問題をふまえたものと考えられます。
さらに、「ケトプロフェン」は、脂質異常症治療薬の「フェノフィブラート」のほか、日焼け止め成分の「オクトクリレン」や「オキシベンゾン」とも交叉感作性を有することが知られています。光線過敏症を経験した人では、紫外線対策として日焼け止めを使用することが少なくありません3)。しかし、その際には、これらの成分を含む製品を避ける必要があります。
夏場は紫外線量が増えるだけでなく、薄着になることで、肩や首元、足首、肘など、春先までは衣服で覆われていた部位にも紫外線が当たりやすくなります。これらの部位に外用鎮痛消炎薬を使用している人、あるいは最近まで使用していた人に対しては、改めて、注意喚起を行うことが重要です。
【文献】
1) Kowalska J, et al:Pharmaceuticals(Basel). 2021;14(8):723.
2) Takeshi M, et al:Int J Pharm. 2014;465(1-2):197-201.
3) Blakely KM, et al:Drug Saf. 2019;42(7):827-47.
児島悠史(薬剤師/Fizz-DI代表)[薬剤師][光線過敏症][外用鎮痛消炎薬]