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【識者の眼】「医療DX⑪:『標準型電子カルテ』と『標準型電子カルテ(導入版)』について」上野智明

登録日: 2026.06.04 最終更新日: 2026.06.04

上野智明 (日本医師会ORCA管理機構株式会社取締役副社長)

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本稿では、医療DXについて1番質問の多い、「標準型電子カルテ」に関連する制度の理解と対応についてまとめます。なお、一部には私見を含みます。

まず、「標準型電子カルテ」と「標準型電子カルテ(導入版)」〔以下、(導入版)〕という、2種類の異なるコンテンツが存在します。この2つは、別のものとして理解する必要があります。

「標準型電子カルテ」は、いわゆる電子カルテそのものであり、紙カルテの代替となるものです。一方、(導入版)は、電子カルテ情報共有サービスを利用するためのツールという位置づけです。3文書6情報の共有や電子処方箋の発行等に対応することを目的としており、Webアプリとして提供される予定です。

最近では、2027年度にリリース予定とされる(導入版)の話題を耳にする機会が多く、「標準型電子カルテ」本体については、開発や提供時期が後ろ倒しになるのではないか、というのが私見です。その一方で、「標準型電子カルテ」の標準仕様については、まもなく正式に示される見込みとなっています。今後は、各メーカーがこの標準仕様に準拠した電子カルテ製品を開発し、国の認証を受ける流れになると思われます。

(導入版)は、紙カルテでクラウド型レセプトコンピューターを利用している医療機関が主なターゲットになると考えられますが、既存の電子カルテを利用中の医療機関でも、追加導入できるツールになる見込みです。現在利用中の電子カルテが電子カルテ情報共有サービスへすぐに対応できない場合にも、有用となる可能性があります。

これを機に、紙カルテから電子カルテへの移行を検討されている先生方は、2027年度以降に(導入版)の導入を検討されるのがよいかもしれません。費用等の詳細は未定ですが、2026年夏頃には普及策が公表予定とされており、導入補助等についても明らかになる可能性があります。また、2026年度診療報酬改定で新設された「電子的診療情報連携体制整備加算」の要件にも関係してくると思われます。

既に電子カルテを導入済みで、リプレイス時期が近く、「標準型電子カルテ」のリリースを待たれている先生方もおられると思います。その場合は、現時点では、「標準型電子カルテ」の標準仕様に対応予定としているメーカーの電子カルテを選択するほうが現実的ではないかと思います。こちらも私見ですが、「標準型電子カルテ」そのものが予定通り提供されるかは不透明であり、提供初期には一定のトラブルが生じる可能性も想定されるためです。

最後に、「電子カルテが義務化される」という誤解を耳にすることがあります。現在の医療DX推進本部の方針では、「遅くとも2030年には概ねすべての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」とされています。しかし、これは主として行政側の整備目標と考えられます。医療機関に対する一律の義務化が直ちに実施されるとは考えにくいと思われます。

以前、レセプトのオンライン請求が制度として進められた際にも、「義務化」という表現が用いられました。しかし、実際には、医師会等の働きかけもあり、年齢等による経過措置や対象外医療機関の規定が設けられたという経緯がありました。

上野智明(日本医師会ORCA管理機構株式会社取締役副社長)[医療DX標準型電子カルテ

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