はじめに
オープンダイアローグ型ミーティングは、複雑で多様な人間関係や価値観が絡む現代社会において、問題を多様な視座からとらえ直し、対話によって新たな多様な解消策が生み出される有効な形と考えられる。「関係者全員による創造的な対話」が促進されるため、様々な場面で応用可能かもしれない。
オープンダイアローグとは
オープンダイアローグは、1984年にフィンランド・西ラップランド地方の精神科病院で生まれた、メンタルヘルスケアの新たなアプローチだ。特徴的なのは、24時間以内に関係者が集うなど、対話の場を設けるサービス供給システムと、その中心となる対話的ミーティングのあり方である。心配事の中心にいる人、それに関係する人、医療スタッフが一堂に会し、対話を重ねる。
オープンダイアローグ型ミーティングの流れと特徴
1.ミーティングへの準備
参加者は、心配事の中心にいる人、その家族や関係者、複数の医療スタッフである。医療スタッフは、意見が偏るのを防ぎ、多様性を確保するため、必ず複数で参加する。また、医療スタッフ同士の事前打ち合わせは行わない。その場で生まれる多様な視点を大切にするためである。
2.進行方法と全員の尊重
医療スタッフが進行役となる。目的はあくまで「対話を促進すること」。発言権や立場による主従を生まないよう、全員の経験や考えが対等に取り扱われる場づくりをめざす。ミーティングの冒頭では、「この場に参加した経緯」や「ミーティングへの期待」を全員が語る。それぞれの背景や考え方の違いを共有し、発言が相互に尊重される状態をつくる。
3.進行例
同じテーマであっても、参加者ごとに期待や悩みの焦点は異なる。その違いを丁寧に聴き合うことで、今までにない解決へのヒントが見いだされる。また、医療スタッフがそれぞれ異なる意見を口にすることで、1つの意見に決定的な意味が与えられず、多様な考えが並列的に扱われる。
ミーティング後の展開と多様な対応策
ミーティングを重ねることで、課題解消へのアイデアや選択肢は当初より豊富になる。この過程によって、困難に対して「一緒に乗り越える力」となるだろう。ただし、ミーティングですべてが解決するということではない。たとえば、トラウマのケアが必要な場合は個人療法が選択される。薬物療法が適切と判断されれば、その導入も選択肢となる。学校の課題なら、個人のケアに加えて、学校現場でも対話の機会を設けることが試みられる。状況ごとに最適な対応策が柔軟に選ばれていく。
このアプローチが持つ本質的な価値
関係者全員で対話し、それぞれの経験や考え、思いを持ち寄ることで、従来は気づかなかった新たなアイデアが生まれる。対話は結論を急ぐものではなく、経験を積み重ねていく過程そのものに価値がある。オープンダイアローグ型ミーティングは、現場の生きた知恵を引き出し、より本質的な問題解消を支えるだろう。
森川すいめい(NPO法人TENOHASI理事)[オープンダイアローグ][対話]