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多発性内分泌腫瘍症[私の治療]

登録日: 2026.05.22 最終更新日: 2026.05.22

河本 泉 (関西電力病院消化器外科部長)

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多発性内分泌腫瘍症(multiple endocrine neoplasia:MEN)には1型(MEN1)と2型(MEN2)があり,ともに常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。MEN1はがん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の変異が,MEN2はがん原遺伝子であるRET遺伝子の変異が原因である。MEN2は臨床像によりMEN2AとMEN2Bにわけられる。家族性甲状腺髄様癌(FMTC)はMEN2Aの亜型と考えられている。

▶診断のポイント

•MENの可能性が高い患者を診察した場合は,他のMEN関連病変の有無や家族歴を確認する。

•MENの家族歴がある場合は,MENを疑いスクリーニングを行う。

MEN1遺伝子検査,RET遺伝子検査とも保険適用である。遺伝学的検査を行い診断を確定することで,MENの特徴に応じたサーベイランスを行う根拠となる。

•関連病変の異時性・同時性多発に注意してサーベイランスを行う。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

【MEN1】

〈病態〉

がん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の変異が原因であり,主な関連病変は原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT),膵・消化管神経内分泌腫瘍(NEN),下垂体腺腫である。PHPTは罹患率が最も高く(90%以上),ついで膵・消化管NEN,下垂体腺腫であるが,ほかにも副腎皮質腫瘍や胸腺・気管支NEN,皮膚腫瘍がみられる。膵・消化管NENの肝転移と胸腺NENは予後因子として重要である。

〈診断〉

以下のいずれかの場合,MEN1と診断する。

①主な関連病変のうち1つを有し,MEN1の家族歴がある。
②主な関連病変のうち1つを有し,MEN1遺伝子の変異が確認されている。

主な関連病変のうち2つ以上を有する場合はMEN1を強く疑う。膵・消化管NENのうち,多発性膵NEN,若年性インスリノーマはMEN1を疑う根拠となる。ガストリノーマの約20%はMEN1に伴うもので,特に十二指腸ガストリノーマはMEN1に高率に合併することに注意を要する。

MEN1は遺伝子変異の型と臨床像に相関がみられず,血縁者内でも臨床像が異なる。


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