ボーエン病は,異型性を持った角化細胞が表皮内にとどまる状態であり〔SCC(squamous cell carcinoma)in situ〕,基底膜を超えて浸潤すれば有棘細胞癌となる。中年以降に発症することが多く,全身どこにでも発生するが,特に紫外線曝露部位(顔面,手背,前腕)や外陰部,臀部などに発生することが多い。原因としては,露光部であれば紫外線が,全身に多発する症例ではヒ素曝露が,外陰部であればヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)感染などが挙げられる。臨床的には,境界明瞭な紅色~紅褐色の局面として出現し,表面に鱗屑や痂皮を伴うことが多い。病変は通常ゆっくりと拡大し,自覚症状に乏しいため,自分で見えない場所の場合は発見が遅れることもある。
▶診断のポイント
【症状】
臨床的に似ている湿疹や乾癬といった炎症性の疾患との鑑別が重要である。単発でステロイド外用に反応しない場合には,本疾患を強く疑うべきである。ダーモスコピーでは,点状あるいは蛇行状の血管拡張,白色鱗屑,赤色の構造の乏しい背景が特徴所見となる。
【検査所見】
確定診断は皮膚生検で行う。病理組織学的に表皮全層にわたる異型角化細胞がみられ,基底層は保たれる。多核巨細胞様の細胞が凝集してみられることもあり, “clumping cell”と呼ばれる所見が観察されることがある。
【鑑別疾患】
日光角化症は臨床的に類似するが,日光角化症は異型角化細胞が表皮全層ではなく,表皮下層を中心に不規則に増殖すること,そして真皮には日光性弾力線維症を伴うことで鑑別が可能である。
外陰部ボーエン様丘疹症は,組織学的にはボーエン病と類似しており,病理標本だけでの鑑別は困難である。一方で,臨床的には外陰部ボーエン様丘疹症は外陰部に黒色の丘疹が多発することから,典型的なボーエン病とは異なる。
