2024年度から始まった第8次医療計画の重要なポイントは,新興感染症への対応と在宅医療体制の強化である。
新興感染症への対応では,平時からの医療体制の整備(協定に基づく機能および役割分担)と高齢者施設における感染症対応力の構築あるいは強化が方向性として記載されている。
在宅医療体制の強化(質の向上と普及)は,医療と介護双方のニーズを持つ高齢者が2025年以降さらに増えてくる状況下で地域の医療および介護体制を維持するための最も重要な取り組みとして位置づけられている。
▶制度面の知識
【医療計画とは】
医療法(第30条の4)に基づいて厚生労働大臣が定める基本方針に即し,地域の実情に応じた医療提供体制の確保のため,各都道府県がつくる計画である。地域の現状と基準病床数,必要な医療を提供するための計画が記載されている。第1次医療計画(1986~1992年)は,戦後の医療体制の再構築を目的に公衆衛生の改善と病院の整備に重点が置かれた。以降,第2次(1993~1997年),第3次(1998~2000),第4次(2001~2006),第5次(2007~2013),第6次(2014~2017),第7次(2018~2023),第8次(2024~2029)が策定されている。
【医療計画と在宅医療】
第5次医療法改正(2006年)で,医療機能の分化・連携の推進,在宅医療の確保に関する事項が初めて医療計画に位置づけられることとなり,この年の診療報酬改定で在宅療養支援診療所が,2008年には在宅療養支援病院が新設された。この医療法改正後の第5次医療計画においては,「在宅医療」という文言はなかったものの,「4疾病(がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病)5事業〔救急医療,災害時における医療,へき地の医療,周産期医療,小児医療(小児救急医療を含む)〕ごとに,必要な医療機能と各医療機能を担う医療機関の名称を医療計画に記載し,地域の医療連携体制を構築」「地域の医療連携体制を分かりやすく示すことにより,住民や患者が地域の医療機能を理解」するという文言で,在宅医療が指針に盛り込まれた。第6次医療計画では「5疾病5事業及び在宅医療」として,精神疾患と「在宅医療」が追加され,第7次医療計画では「在宅医療の提供体制を着実に整備する」ために都道府県や市町村の医療・介護担当者等の関係者による協議の場を設置することとなった。医療計画における在宅医療の位置づけは時代とともに高くなり,第8次医療計画につながることとなる。
なお,第7次から医療計画は介護保険事業計画と同時改定される形となり,地域における医療と介護の連携体制が制度として進められることとなった。
