有棘細胞癌(皮膚扁平上皮癌)は表皮角化細胞由来の悪性腫瘍であり,病理組織像では,程度の差はあれ表皮有棘層に類似した分化能を持つ異常細胞が真皮内へ浸潤する。異常細胞が表皮内に限局していれば日光角化症(光線角化症)であることから,本稿では日光角化症に対する治療も含める。
▶診断のポイント
【有棘細胞癌】
高齢者の顔面や手背などの露光部に徐々に増大する紅色腫瘍を呈することが多い。非露光部では瘢痕,慢性放射線皮膚炎,慢性炎症が発生母地となり,発生母地での難治な潰瘍で初発することが多く,後に腫瘍を形成する。
【日光角化症】
高齢者の露光部に軽度隆起する紅斑性局面を呈する。疣状や角状に隆起することもある。放置すると有棘細胞癌へ進展する可能性がある。
有棘細胞癌,日光角化症ともに,腫瘍の部分生検の病理組織像により診断を確定する。日光角化症において,部分生検で有棘細胞癌を否定できない場合は,外科的全切除により診断を確定する。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
【有棘細胞癌】
〈原発病変〉
外科的切除が基本であり,まず高リスク群,低リスク群のどちらに該当するかを判断する。下記のうち1つでも該当する場合は高リスク群とし,1つも該当しない場合のみ低リスク群とする1)。
・発生部位と直径:体幹・四肢(前脛骨部,手足を除く)で2cm以上,頬・前額・頭皮・頸部・前脛骨部で1cm以上,マスク領域(顔面中心・眼瞼・眉毛部・眼窩周囲・鼻・口唇・頤・下顎・耳前部・耳後部)・陰部・手足では大きさを問わない。
・臨床所見:境界不鮮明,放射線照射部位や慢性炎症が発生母地,再発例,増大速度が大,免疫抑制状態,神経症状あり。
・組織学的所見:低分化,adenoid(acantholytic),adenosquamous,desmoplastic,metaplastic subtype,皮下脂肪を超える浸潤,腫瘍厚が6mm以上,神経・脈管浸潤あり。
リンパ行性に転移することがあり,所属リンパ節腫脹の有無を触診し,転移が疑われる場合は超音波やCTなどの画像検査を行う。
〈遠隔転移〉
リンパ行性転移が確認されれば,PET/CTや造影CTなどで遠隔転移の有無を確認する。リンパ行性転移が確認されない場合,血行性転移は稀であることから,症例ごとに遠隔転移の有無を検査すべきかどうか判断する。
【日光角化症】
症例の年齢,状態や病変の部位,数,性状などにより治療法を選択する。
