2024年5月に出版された『鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024[第2版]』1)は,2015年の第1版2)の内容を改訂し,新たなエビデンスを反映している。本稿では,鼠径部切開法に焦点を当て,その特徴および合併症対策について解説する。
(1)術式選択
鼠径部切開法には,メッシュを使用しない組織縫合法とメッシュ法がある。組織縫合法は再発や慢性疼痛の発生率が高く,汚染手術など特殊な状況を除き,推奨されていない。現在,わが国の鼠径ヘルニア手術の35.4%が鼠径部切開法で,そのほとんどがLichtenstein法,Plug法,Bilayer法,Kugel法などのメッシュ法であり,組織縫合法はわずか0.7%のみであった3)。