水痘は,水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)の初感染による急性感染症であり,空気感染によって伝播する。感染後10~21日(通常14~16日)の潜伏期間を経て,発熱とともに紅斑,丘疹,水疱,痂皮などの様々な段階の発疹を呈する。2014年に水痘ワクチンが定期接種化されてから,日本での感染者数は著明に減少した。しかし,免疫正常者であっても,A群β溶血性連鎖球菌による皮膚/軟部組織感染症や急性小脳失調症,脳炎などの中枢神経系合併症を引き起こすことがあり,注意を要する。免疫不全者において重症化リスクの高い疾患であるが,免疫不全者は水痘ワクチンを接種できない。そのため,水痘ワクチンによる社会全体での集団免疫により流行を抑制し,免疫不全者が罹患する機会を減らすことも重要である。
▶診断のポイント
水痘は基本的に臨床診断が可能である。水痘の発疹は,紅斑,丘疹,紅暈を伴う水疱,痂皮へと段階的に変化し,それぞれが混在することが特徴である。また,頭皮に病変が現れる点も診断の重要な手がかりとなる。
ただし,身体所見だけでは診断が難しい症例もあるため,以下のポイントを確認することが重要である。
・周囲からの曝露歴
・水痘ワクチンの接種歴
・患者が免疫不全かどうか
さらに,水痘ワクチン接種後に発生する「ブレイクスルー水痘(修飾水痘)」についても注意が必要である。水痘ワクチン接種後42日以上経過し,野生型VZVに曝露された際に発症する。ブレイクスルー水痘は発熱を伴わないことが多く,50個未満の非典型的な皮膚病変を特徴とし,症状が軽微であることが多い。そのため,診断が難しい場合がある。
臨床診断が基本であるが,以下の場合には確定診断のための検査を積極的に行う。
・病歴や身体所見での鑑別が困難な場合
・院内感染管理が必要な場合
・患者が免疫不全の場合
検査方法としては,水疱の内容物,あるいはびらん・潰瘍のぬぐい液を用いたVZV迅速抗原検査や核酸増幅検査(PCR検査など)が有用である。さらに,血清学的診断(IgM抗体陽性や水痘・帯状疱疹IgG抗体の上昇)も可能であるが,迅速性に欠けるため,状況に応じた選択が求められる。
なお,PCR検査(リアルタイムPCR法)に関しては,免疫不全状態の患者に対して検査を行った場合,一連の機会につき1回のみ保険が適用される。
