網膜剝離は,裂孔原性網膜剝離(rhegmatogenous retinal detachment:RRD)と非裂孔原性網膜剝離にわけられる。本稿では,網膜剝離の中で最も多くみられるRRDについて述べる。RRDは,網膜に生じた裂孔や円孔を通じて感覚網膜下に硝子体液が流入し,感覚網膜が剝がれる病態である。RRDの発症には,①網膜裂孔・円孔形成,②硝子体の網膜牽引,③硝子体の液化の3要素が必要である。技術の発展に伴い,治療成績は飛躍的に向上しているが,裂孔の特定と閉鎖が治療の要である点は変わらない。RRDの治療には,硝子体手術(pars plana vitrectomy:PPV),強膜バックリング(scleral buckling:SB),および気体網膜復位術(pneumatic retinopexy:PnR)といった方法が用いられる。それぞれの術式は患者の状態や病態の特性に応じて使いわけられる。特に高齢化が進む現在では,発症の多くが50~60歳代に集中しており,原因としては萎縮円孔,弁状裂孔,外傷,アトピー性疾患などが挙げられる。
▶診断のポイント
RRDの診断は,眼底の詳細な観察が基本であり,三面鏡や双眼倒像鏡を用いた観察などによる眼底検査は重要である。最近では広角眼底カメラや光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)などの画像診断技術の進歩が大きな役割を果たしている。OCTを用いることで,網膜裂孔の正確な位置や剝離の範囲を把握できるだけでなく,網膜下液の存在を視覚的に確認できる。また,術後の経過観察にもOCTは有用で,網膜の再接着状況や視細胞層の回復具合を評価することが可能である。特に,黄斑部の状態や剝離が中心窩に及んでいるかどうかは視力予後に大きな影響を与えるため,診断時に黄斑部の状況を的確に評価し,治療計画に反映させる必要がある。若年例では萎縮円孔が原因となることが多く,高齢例では後部硝子体剝離に伴う裂孔が主な原因であるという特徴も診断の助けとなる。
