検索

×
絞り込み:
124
カテゴリー
診療科
コーナー
解説文、目次
著者名
シリーズ

肩峰下インピンジメント症候群[私の治療]

登録日: 2026.03.13 最終更新日: 2026.03.13

新井隆三 (京都下鴨病院整形外科肩関節部長)

お気に入りに登録する

肩峰下インピンジメントとは,上肢挙上時に肩峰や烏口肩峰靱帯と,腱板や大結節が衝突して疼痛や可動域制限をきたす現象である。このうち,腱板断裂等の解剖学的構造異常がないのにこのような現象を生じる病態を総称して,肩峰下インピンジメント症候群(subacromial impingement syndrome:SIS)と言う。

▶診断のポイント

特定の方向へ上肢を挙上したときに症状をきたすことを確かめる。典型的な肩峰下インピンジメントの場合,側挙が最も顕著に障害され,次に前挙の可動域が減少するが,下垂位外旋の制限はあまりない。もしあらゆる方向に顕著な可動域制限がみられる場合には,凍結肩を想定する。運動方向に特異的な症状を確認した後,石灰性腱炎や腱板断裂,あるいは陳旧性大結節骨折などの器質的疾患を除外する。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

安静時から痛みが強い場合(夜間就寝時痛も強いことが多い)は,肩を動かせないため運動の方向によって症状が変わることを検出できない。肩甲上腕関節あるいは肩峰下腔に激しい炎症をきたしていることが多いため,まずは関節内注射や安静指導などの消炎処置を徹底する。

安静時痛がおさまった状態では,下垂位外旋・前挙・側挙の自動・他動可動域を左右で比較し,上述のような運動方向特異的な症状を見出す。肩峰下腔に局所麻酔薬を注入して一時的にでも症状が改善すれば(ブロックテスト陽性),肩峰下インピンジメントの診断はより明らかとなる。X線,MRI,エコーなどの画像診断を行い,石灰化病変や腱板断裂断端あるいは変形治癒した陳旧性大結節骨折など,挙上時に肩峰下に引っかかってしまいそうな器質的疾患を検索する。肩峰下インピンジメントがあり,かつ,これら器質的疾患が除外できればSISと診断される。


1 2