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【識者の眼】「『乳アレルギー』と『乳糖』、意外と多い誤解と見落としがちな関係性」児島悠史

登録日: 2026.03.17 最終更新日: 2026.03.17

児島悠史 (薬剤師/Fizz-DI代表)

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「乳アレルギー」は、主にカゼインやαラクトアルブミン、βラクトグロブリンなどの乳蛋白に対して免疫学的反応を起こす病態を指します。一方、「乳糖」は、グルコースとガラクトースからなる二糖類であり、それ自体に抗原性はありません。したがって、「乳アレルギー」と「乳糖」に直接の関係はないとされています。それにもかかわらず、「乳アレルギー」の人は「乳糖」を避けるべきか、という疑問がしばしば生じます。そこには2つの重要なポイントがあります。

まず、「乳糖」そのものが「乳アレルギー」の原因になることはありませんが、市販の「乳糖」の多くは乳製品を原料として製造されるため、製造過程で微量の乳蛋白が混入する可能性があります。つまり、「乳糖」は「乳アレルギー」の直接の原因ではないものの、夾雑物として含まれる乳蛋白がアレルギー反応を誘発することはありえる、ということです。

では、「乳アレルギー」の人はすべての「乳糖」を避けるべきか、というと、必ずしもそうではありません。こうした微量の乳蛋白は、通常の“経口”摂取であれば臨床上はほとんど問題にならないことが多く、基本的に厳格な除去は必要ないとされている1)からです。

ただし、これはあくまで“経口”摂取した場合の話です。“吸入”2)や“注射”といった投与方法では、微量の乳蛋白でもアレルギーを起こした事例が報告されています。このことから、「乳アレルギー」の人は、「乳糖」の経口摂取を過度に恐れる必要はありませんが、吸入や注射での摂取は避けたほうが無難です。

たとえば、「ドライパウダー定量吸入器(DPI)」タイプの吸入薬や、「リレンザ®」や「イナビル®」のような抗ウイルス薬、あるいは「ソル・メドロール®静注用40mg」のような注射薬など、添加物として「乳糖」を含む製剤は少なくありません。処方時・投与時には添付文書を確認し、見落とさないように注意することが重要です。

【文献】

1) Ebisawa M, et al:Allergol Int. 2017;66(2):248-64.

2) Nowak-Wegrzyn A, et al:J Allergy Clin Immunol. 2004;113(3):558-60.

児島悠史(薬剤師/Fizz-DI代表)[薬剤師][乳アレルギー乳糖

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