※この記事は,FOCUS「カリウム異常を制するために“まず”やること」の一部を抜粋・編集したものです。
緊急度高の場合
まず,高度低カリウム血症による緊急事態として,次の3つの状況を確認する。
1. 心血管病変:心疾患に低カリウム血症が合併すると,心室頻拍や心室細動などの危険な不整脈の頻度が増加する。特に心筋梗塞,心不全,ジギタリス服用などでは注意が必要である。
2. 神経筋麻痺:稀ではあるが,呼吸筋麻痺(特にK≦1.5mEq/Lで起こりうる)が報告されている。特に呼吸不全患者では注意が必要である。
3. 肝不全:肝性脳症の病態を悪化させる危険性がある。

高度低カリウム血症をみるときは,次のようなポイントに沿って治療にあたる。
1. 心電図モニタを装着して,危険な不整脈の検出,治療効果判定,過剰な治療になっていないかの判断に用いる。
2. カリウム製剤投与時はできる限り中心静脈を使用し(カリウム製剤は静脈炎を起こしやすいため),濃度は40mEq/L以下とする。
3. 危険な高度低カリウム血症では細胞外濃度の補正が最優先であるため,細胞外に残りやすいKCLの使用が原則となる。
4. カリウムの細胞内シフトを促す因子を除外する(インスリンやブドウ糖など)。特にブドウ糖とアルカリ(カテコラミンや甲状腺ホルモン)は一緒に投与しないようにする。低カリウム血症が十分に是正されないうちにこれらを投与すると,低カリウム血症を悪化させる。
鑑別診断は迅速に行う。高度低カリウム血症で早急な対応が必要な状況では,ホルモン検査,尿生化学・血液/尿浸透圧検査などは結果が出るまでに時間がかかるため実用的ではない。血液ガスと血圧,血清Mgの測定により迅速に鑑別する(図1)。


迅速な鑑別をする際にヒントとなるのは下記のような傾向である。
─飢餓のみでは,有意な低カリウム血症の発症には数週以上の経過を要する。
─体格の小さい人は,同じKの体外喪失でも低カリウム血症になりやすい。
─急激に低カリウム血症が形成(分~1日の単位)された場合は,その原因として細胞内への移行が最も考えやすい。
緊急度低~中等度の場合
K>2~2.5(>2.5前後)mEq/Lで症状や心電図変化がない場合,余裕があり,経口治療可能なことが多い。経口投与では20~30分でKの上昇が得られ,血中濃度が急激に上昇する危険性が少ないため,可能なら経口で補う。まずは1日40~80mEqで開始して増減することが多い。治療をしながら,下記の手順に沿って鑑別する(レニン活性やアルドステロン濃度など,外注検査で結果が出るまでに数日を要する項目は,結果を待たずに治療開始することが多い)。
・「下記の手順に沿って鑑別」・かかりつけ医での診断と専門医での診断・病態や特殊な状況に応じた治療の使いわけ・高カリウム血症についても
