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スティーヴンス・ジョンソン症候群(眼所見)[私の治療]

登録日: 2026.03.02 最終更新日: 2026.03.02

臼井智彦 (国際医療福祉大学医学部眼科学代表教授)

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スティーヴンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)は,発熱と眼粘膜,口唇,外陰部などの皮膚粘膜移行部における重症の粘膜疹を伴い,皮膚の紅斑と表皮の壊死性障害に基づく水疱・びらんを特徴とする疾患である。薬疹と考えられているが,医薬品以外にもマイコプラズマやウイルスなどの感染症が原因になることもある。

▶診断のポイント

SJSの急性期における眼症状として,結膜充血,偽膜形成,角結膜上皮欠損を生じる。眼瞼の発赤腫脹や睫毛の脱落を認めることもある。これらの眼所見が皮疹や粘膜疹とほぼ同時に出現する。急性期後の後遺症としてドライアイ,睫毛乱生,瞼球癒着,角膜瘢痕性混濁などをきたす。角膜上皮幹細胞疲弊症となって結膜線維組織が角膜上に被覆すると,重篤な視力低下をきたす。

▶私の治療方針・処方の組み立て方

【急性期における眼科的治療】

急性期では消炎と感染予防に全力を注ぐ。診断を確定し速やかに消炎を行うことで,角膜上皮幹細胞を炎症から守り,角膜の上皮化を促し,さらに,角膜実質の瘢痕化や結膜侵入を防ぐことが重要である。消炎には全身的なステロイドパルス療法と局所のステロイド点眼・軟膏を投与する。全身的治療ではステロイドパルス療法に伴う一般的な全身合併症に注意を払い,入院させて専門医の管理下で行うことが望ましい。感染予防に対しては抗菌薬点眼を用いる。偽膜は随時除去する。遷延性上皮欠損や瞼球癒着が生じた場合,治療用ソフトコンタクトレンズの装用や羊膜移植を行う。また,近年,再生医療等製品が保険収載されたため,自己の口腔粘膜を採取し,そこから細胞を培養し,シートを作製しての移植(cultivated oral mucosal epithelial cell sheet transplantation:COMET)も考慮する。

【慢性期(後遺症)に対する眼科的治療】

慢性期では,ドライアイ,睫毛乱生,慢性結膜炎,瞼球癒着,角膜瘢痕性混濁をきたし,重症例では角膜上皮幹細胞疲弊症となり重篤な視機能低下を引き起こす。ドライアイに対してはドライアイ点眼薬や涙点プラグを挿入する。睫毛乱生は定期的に抜去する。慢性結膜炎の消炎には低濃度ステロイドの局所点眼を用いる。SJSは,結膜囊にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)の保菌率が高いため,眼脂を伴う結膜炎を生じている場合は必ず結膜囊培養を行い,抗菌薬点眼を選択する。瞼球癒着,角膜上皮幹細胞疲弊症に対しては,COMETによる眼表面の再建を行う。角膜の瘢痕性混濁が強くCOMET後にも視力障害が著しいケースでは,角膜移植術を行う。


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