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急性腎炎症候群[私の治療]

登録日: 2026.02.11 最終更新日: 2026.02.11

藤永周一郎 (埼玉県立小児医療センター腎臓科科長)

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急性腎炎症候群(acute nephritic syndrome)は,「急性発症する血尿,蛋白尿,高血圧,糸球体濾過量の低下,ナトリウムと水の貯留をきたす症候群」と定義されており,小児では80~90%が溶連菌感染後急性糸球体腎炎(post-streptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)である。PSAGNは,5~12歳に好発し,男児に多く,A群β溶血性連鎖球菌(Group A β-hemolytic streptococci:GAS)による咽頭炎から10~14日後に,皮膚感染症から3~6週間後に血尿,蛋白尿(ネフローゼ症候群は稀),浮腫,高血圧が出現する1)。蛋白尿は数日以内に減少しはじめ1~2カ月以内には消失するが,顕微鏡的血尿は6カ月以上持続することもある。小児のPSAGNは自然治癒傾向が強い疾患であり,対症療法のみで通常は1~2週間以内に利尿期に入り,浮腫や高血圧は消失する。一方,PSAGNの既往は,成人期の蛋白尿や慢性腎臓病のリスクとなることが報告されており,成人以降は定期検診による経過観察が必要である。

▶診断のポイント

急性腎炎症候群において,過去に検尿異常や高血圧の既往がなく,全身性エリテマトーデス(SLE)などの全身疾患の所見もなく,血清抗ストレプトリジンO抗体(ASO)高値と低補体血症(C3,CH50の低下)が確認されれば,PSAGNと確定診断できる。低補体血症は,発症1~2週間後から回復しはじめ,8週間以内には正常化する。糸球体濾過量の減少により血清クレアチニンや尿素窒素は上昇するが,尿細管機能は正常であるため,溢水状態(BNP高値)にもかかわらず,Na排泄分画(FENa)は腎前性腎不全(1%以下)のパターンをとる2)。血清アルブミン値やヘモグロビン値は溢水による稀釈で低下するが,血清IgG値は高値のことが多い。


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