多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)は,抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎のひとつである。上気道および下気道を障害する壊死性肉芽腫性炎と,主に小型〜中型血管(毛細血管,細動静脈,小動静脈)の壊死性肉芽腫性血管炎がみられる。壊死性糸球体腎炎の頻度も高い。
▶診断のポイント
発熱,倦怠感などの全身症状,滲出性中耳炎,膿性・血性鼻漏などから本症を疑うことが大切である。厚生労働省の診断基準を参考に,主要症状(上気道・肺・腎の症状,血管炎による多臓器・器官の症状),組織所見(上気道,肺,腎の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎,免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎,小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎),検査所見(PR3-ANCA)から総合的に診断する。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
治療においては早期診断・早期治療を心がけ,重要臓器のみに着目するのではなく,すべての臓器病変を把握することが重要である。血管炎の活動性が消失した状態である寛解を目標とし,早期の寛解導入と寛解維持によって不可逆的な臓器障害の回避と長期予後の改善をめざす。治療の流れを寛解導入,寛解維持の2つのステージにわけ,これに基づいて処方を組み立てる。特に,グルココルチコイド(GC)の総投与量を極力減らすよう努めるとともに,感染症,骨粗鬆症,代謝異常といった合併症の対策を講じる。
【GPAの寛解導入治療】
- 標準的な寛解導入治療は「静注シクロホスファミドパルス(IVCY)またはリツキシマブ(RTX)」と「GCまたはアバコパン」の併用療法である。
①GCの副作用軽減のため,診療ガイドラインで採用された論文のGC減量レジメンを参考に治療を行う。
②IVCYまたはRTXと併用する薬剤として高用量GCよりもアバコパンが考慮されるが,アバコパンの長期的な安全性が未知であるため,アバコパンは血管炎の治療に精通した医師のもとで用いる。GCとアバコパンを併用する場合もある。
③IVCY,RTXともに使用できない場合には,メトトレキサート(MTX)(保険適用外)やミコフェノール酸モフェチル(MMF)(保険適用外)が選択肢となる。 - 高齢者,透析を要する腎障害,易感染性など副作用のリスクが高いと考えられる場合,あるいは限局型で重症臓器病変がない場合にはGC単独で寛解導入することもある。
- 最重症の腎障害(目安として血清クレアチニン>5.7mg/dL)を伴う場合は,血漿交換療法の併用を検討する。
