慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の進行した状態(特に透析期)では,カルシウム(Ca),リン,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)などの生化学検査値の異常,骨代謝異常,さらには軟部組織の石灰化(特に血管石灰化)が併存することが多く,これらが緊密に連関する。CKD-mineral and bone disorder(MBD)は,これら3要素からなる症候群であり全身疾患である。一方,腎性骨症は,病理所見に基づくCKDに伴う骨病変のみの概念である。CKD-MBDの最終的な臨床アウトカムは,骨折,心血管イベント,死亡の3つである。
▶診断のポイント
採血検査結果と異所性石灰化(特に血管石灰化)の程度により診断する。
▶私の治療方針・処方の組み立て方
血清Ca,リン,PTHの目標範囲は,それぞれ8.4~9.5mg/dL,3.5~5.5mg/dL,240pg/mL未満である。ただしリンに関しては,栄養状態が悪い高齢患者においてはこの限りではない。原疾患が糖尿病性腎症,あるいは動脈硬化性疾患(心筋梗塞,脳梗塞,末梢動脈疾患)の既往がある場合には,リンの目標値上限をさらに下げることを考える。PTHについては,活性型ビタミンD製剤のみで管理するときは60~240pg/mLと下限値がある。PTHよりも,血清Ca値とリン値を目標範囲に管理することを優先する。つまり,PTHの管理のためにCaの検査値異常(具体的には低カルシウム血症)を犠牲にすることはあってはならないので,PTHの管理は最後となる。ただし,カルシウム感知受容体作動薬(カルシミメティクス)でPTHを管理することで,血清Ca,リンのコントロールは容易になる。
血清Caが低くリンが高い場合は沈降炭酸カルシウムを,血清Caが低くPTHが高い場合は活性型ビタミンD製剤を投与する。透析患者では,血清Ca,PTHともに高い場合はカルシミメティクスを使い,血清Caが高くPTHが目標範囲内であれば,活性型ビタミンD製剤や沈降炭酸カルシウムを減量することになるが,血清Caの高値は結核や不動が原因となることもある。血清リンの高値に対しては,まずは透析量が十分か確認し,次にリン摂取量を見直す。また,PTHが高いなど骨吸収が亢進している場合は,カルシミメティクスの投与を考える。これらの対応でも血清リン値が依然として高い場合に,リン低下薬を投与する。
