くる病は,カルシウム(Ca)やリン(P)の不足による成長軟骨帯や骨基質の石灰化障害であり,骨変形と成長障害を主徴とする。①ビタミンD作用不全に基づくものと,②P排泄の増加に基づくものとに大別される。①に基づくものとしては,ビタミンD欠乏性くる病,ビタミンD依存症1型,ビタミンD依存症2型が,②に基づくものとしては,線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23:FGF23)関連低リン血症性くる病(X染色体顕性低リン血症性くる病,ほか),腎尿細管異常症(Fanconi症候群,高カルシウム尿性遺伝性低リン血症性くる病,ほか)が挙げられる。
ビタミンDは食事として摂取あるいは紫外線により皮膚で合成された後,肝臓で水酸化を受け25水酸化ビタミンD[25(OH)D]に,さらに腎近位尿細管において水酸化を受けて,活性型である1,25(OH)2Dに代謝され,ビタミンD受容体を介して作用を発揮する。ビタミンD欠乏症では腸管からのCaやPの吸収が減少し,血清Ca値,P値が低下する。完全母乳栄養児や,食事制限,日光曝露不足が存在する際にはビタミンD欠乏症になりやすい。血中25(OH)D濃度は,体内のビタミンDの貯蔵状態を反映し,ビタミンD欠乏症の指標となる。
骨細胞で産生されるFGF23は,近位尿細管におけるPの再吸収を障害し,P排泄を増加させる。FGF23の作用過剰により,FGF23関連低リン血症性くる病を発症する。
▶診断のポイント
- 臨床症状:痙攣,テタニー,易刺激性,Trousseau徴候,Chvostek徴候。内反膝(O脚)・外反膝(X脚)などの下肢変形,動揺性歩行,脊柱の弯曲,頭蓋癆,大泉門の開離,肋骨念珠,ハリソン溝,関節腫脹,病的骨折,筋力低下,成長障害。
- 単純X線像:くる病変化(骨幹端の杯状陥凹,骨端線の拡大・不整・毛羽立ち)。
- 血液検査:低リン血症,低カルシウム血症,高アルカリホスファターゼ(ALP)血症。ビタミンD欠乏性くる病では血清25(OH)D≦20ng/mL,血中PTH高値。FGF23関連低リン血症性くる病ではFGF23≧30pg/mLとなる。なお,低リン血症の血清P基準値は1歳未満では<4.5mg/dL,1歳以上小児期では<4.0mg/dL,思春期以降は<3.5mg/dLである。高ALP血症の血清ALP基準値は1歳未満では≧550U/L,1歳以上小児期では≧450U/L,思春期の成長加速期では≧500U/Lである。
