どのような患者に小腸内視鏡検査をすべきでしょうか。
自治医科大学・矢野智則先生にご解説をお願いします。
【質問者】
野村達磨 鈴鹿中央総合病院消化器内科医長
【回答】
【上部・下部内視鏡や一般的な画像検査で原因不明の貧血や腹部症状がある患者に実施すべきである】
今世紀に入ってカプセル内視鏡とバルーン内視鏡が登場し,小腸疾患の診断・治療は進歩しました。消化管出血に対して上部・下部消化管内視鏡を行っても出血源が見つからなかった場合に,小腸検査を検討することは一般臨床医に少しずつ浸透してきたと思われます。
しかし,いまだに小腸癌は進行した状態で見つかることが多いのが現状です。本邦での十二指腸癌を除いた小腸癌の患者354例に関する研究1)では,小腸癌診断時の臨床病期は0期5.4%,Ⅰ期2.5%,Ⅱ期27.1%,Ⅲ期26.0%,Ⅳ期35.6%,不明3.4%であり,半分以上の患者がⅢ期以上の進行した状態で診断されていました。診断時に76.8%の患者は何らかの症状を有しており,貧血に関しては28%に顕性出血を伴わない貧血を,12.1%に顕性出血を伴う貧血を認めましたが,48.6%は貧血を伴っていませんでした。他の症状としては31.6 %に嘔吐,44.6%に腹痛,34.2%に腸閉塞が認められていました。