硬膜下膿瘍は,硬膜下腔に膿が貯留したものである。かつては皮質膿瘍,化膿性髄膜炎,硬膜下化膿とも呼ばれていた。局所性頭蓋内感染症は,脳膿瘍,硬膜外膿瘍,硬膜下膿瘍に分類されるが,化膿性髄膜炎や脳室炎のような広汎な感染症も含むことになる。硬膜下腔は連続的で解剖学的障壁がないため,硬膜下膿瘍は脳表に広がり,反対側の大脳半球または後頭蓋窩に広がることもある。重篤な疾患だが治療可能である1)。
▶診断のポイント
病歴と身体診察により本症を疑い,画像診断により確定する。通常は感染徴候を呈するが,無症状のこともある。症状は,発熱,頭痛,吐き気,嘔吐,局所神経障害,痙攣,精神状態の変化などがある。通常,発熱と頭痛が認められ,患者の約半数に痙攣が起こる。髄膜刺激徴候がみられることもある。発熱,頻脈,呼吸不全など不安定なバイタルサインを示すときは,敗血症を疑う。通常,症状は徐々に進行する。無治療では急速に重症化して昏睡をきたし,最終的に死に至ることもある。頭蓋内圧亢進を伴い,高血圧,徐脈,呼吸数低下のクッシング三徴候をきたすこともある。神経学的には,片麻痺,脳神経麻痺,乳頭浮腫などを認める。副鼻腔炎または耳炎と診断され,発熱,頭痛を呈する患者では,硬膜下膿瘍を考慮する。また,硬膜下血腫のドレナージを受けた患者で,発熱,痙攣,および新たな神経症状を呈する場合も,硬膜下膿瘍を考慮すべきである。局所的な浮腫や血栓症に伴う脳梗塞による重大な神経学的障害が生じることがある。
