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喉頭癌[私の治療]

登録日: 2025.12.30 最終更新日: 2025.12.30

松浦一登 (国立がん研究センター東病院副院長/頭頸部外科長)

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喉頭癌は全頭頸部癌の約20%強を占め,2025~2029年における罹患数将来推計値(年間・概算)は男性4902人,女性460人の計5362人,予測がん死亡数は男性697人,女性71人の計768人であり,男性優位な疾患である。97~98%が扁平上皮癌であり,他の頭頸部癌と比べて肺癌との合併が多く,喫煙が最大の危険因子である。70~80歳代にピークを認め,高齢化に伴い罹患数は上昇傾向であるが,喫煙率の低下で年齢調整罹患率は漸減傾向にある1)
喉頭には声門上,声門,声門下の3つの部位があり,喉頭癌患者の60%以上が声門癌である。ついで声門上癌が約30%であり,声門下癌は少ない。
喉頭は発声・嚥下に関わり,喉頭癌の治療においては機能温存が強く望まれる。機能温存と根治性のバランスをとりながら,治療方針を立案しなければならない。

▶診断のポイント

喉頭癌の症状として,嗄声,咳嗽,喉頭部異常感,発熱,局所の発赤・腫脹・疼痛,出血(血痰),呼吸困難が挙げられる。声門上癌では喉頭異物感,嚥下時痛,頸部リンパ節腫脹が初発症状に多く,声門癌では嗄声が多い。声門下癌では症状が出にくいので,受診時には進行していることが多い。

喉頭ファイバースコープによる視診が有効であり,確定診断には内視鏡下生検が必要である。腫瘍の進展範囲やリンパ節転移の有無に関しては,CTやMRIなどの画像診断を用いる。重複がんや遠隔転移検索のために,胸部CTや消化管内視鏡検査も治療前検査として勧められる。


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