オスグッド・シュラッター(Osgood-Schlatter)病は,成長期(男児12歳,女児10歳頃)に発生する脛骨粗面の骨端症である。発生率は10%程度と高率であるが,「成長痛」と誤解され,医療機関を受診しない症例も多い。病態は脛骨粗面の二次骨化中心の部分的な裂離で,危険因子には,大腿四頭筋タイトネスの上昇,足関節背屈制限などが報告されている。
▶診断のポイント
【症状】
膝関節伸展位で脛骨粗面に強い圧痛を認め,同部位に腫脹と軽度の熱感を認める。関節水腫を認めることはないが,膝関節深屈曲時に疼痛を訴えることがあり,軽度の屈曲制限を認める症例もある。
【検査所見】
以前は単純X線側面像で脛骨粗面部の不整像や遊離骨片を診断補助としていたが,近年では初期病変を同定することができる超音波検査が第一選択となる。超音波所見では,二次骨化中心の部分的な裂離のみならず,膝蓋腱の低信号域,深膝蓋下滑液包水腫,膝蓋腱周囲や膝蓋下脂肪体に血流シグナルの亢進所見を観察できる。
【鑑別診断】
明らかな外傷歴を伴う脛骨粗面裂離骨折,Hoffa病,Sinding-Larsen-Johansson病,膝蓋下滑液包炎,膝蓋腱症,離断性骨軟骨炎などが鑑別疾患に挙がるが,圧痛部位の局在から診断は比較的容易である。
